あるご夫婦に可愛らしい男児が生まれることに。ところが天界にも意地の悪～い神様が居て、その坊やの人生を惨憺たるモノにしようと企んだ。不慮の事故に遭い異国に独り放り出されボロ着一つで放浪する。最期は絶海の孤島で生涯を閉じるというもの。しかし捨てる神あれば何とやら。悪神の昼寝の隙をついて、善神が坊やの人生を裕福で順風満帆なストーリーに変えてしまった。その子供が晩年に天寿を全うする際に呟いた。「俺は不幸だった。俺の夢はリュック一つで世界を旅することだった。動物たちと海を泳ぎ夜は満開の星空を眺めて眠りたかった。」

神社での願掛けが叶わないことは珍しくない。時に自身を嘆き、神々に不信を抱き文句の一つも言いたくなる。でも願いがすぐに叶ってしまったら…、握りしめれば消えてしまう儚い想い、氷の妖精の気まぐれな吹き矢に刺さった痛み、身体の中を竜神が駆け巡るような躍動感…。どれも感じることが出来ないかもね。なので善神も悪神も幸不幸もアナタが閻魔帳の前に座るまでは正体不明。

「神様、私は物語の中腹におります。だけど必ず雲の向こうの青空に辿り着き、貴方に報告致します！」


◎おまけ◎

善神「あんたのする様にすれば良かったのかなぁ？」
悪神「…解らんなぁ」


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